ストロング系は「料理に使える」

ストロング系缶チューハイの一番の魅力は、文字通りアルコール7~9%という高さだろう。これまで主流の缶チューハイは3~6%で、それに比べてアルコール度数が高い。

なぜ、ほかの缶チューハイではなく強アルコールチューハイを選ぶのかをイメージすると、「安く酔いたい」「早く酔いたい」「今日は酔っぱらうぞー」「早く酔って寝たい」「高速バスで寝たい」「ビジネスホテルで一刻も早く寝たい」……といった消費者心理が浮かんでくる。

さらにここからイメージする購入者層は、「若年層」「お酒にお金をかけたくない人」「早く酔いたい人」「出張族」「手頃にストレス発散したい人」……あたりが見えてくる。

ストレス社会を生きるちょっと疲れた働き盛りの男性をイメージするかもしれないが、実は女性の購入者も多い。

筆者のまわりの女性ソムリエの間では、「缶なので持ち帰りやすい」「どこでも売っている」「家で気取らず飲める」「糖質ゼロで罪悪感なし」「フルーティー」「でも、ドライ」「料理に合わせやすい」などの声が上がっている。なかには、「料理に使える」という驚きの意見もある。

アルコール9%を超えない合理的な理由

例えば、ご飯にかんきつフレーヴァーのストロング系チューハイを混ぜ酢飯にするとか、マグロの漬けダレにするとか、だしと混ぜてしゃぶしゃぶのタレにするなど、一瞬ぎょっとする使い方があるようで、ネット上でも実際にそうした使い方をしている人が散見できる。

考えてみれば、日本酒やワインを料理に使うことを思えば、決しておかしな話ではない。むしろ、最近の果実感や酸味の強いストロング系缶チューハイならではの特徴を生かせば、かえっていろいろな料理に使えてしまう気さえする。

ところで、なぜストロング系チューハイはアルコール度数が9%なのか。「ゴクゴク飲めるアルコール度数の限界が9%だから」などという感覚的なことが理由ではまったくなく、ずばり、酒税法との兼ね合いだ。10%になると税金がかかり商品そのものの価格が上がってしまう。手ごろな値段でできる限り高アルコールにするという、いわばせめぎあいで9%になっているわけだ。

ちなみにストロング系チューハイには「スピリッツ(発泡性)①」と書かれている。これはアルコール10%未満の酒につけられる酒税法上の分類で、1リットルあたり80円の酒税額ということを示している。アルコール10%以上になると「スピリッツ」の分類となり、酒税額は1リットルあたり370円に跳ね上がってしまう。「(発泡性)①」を死守するために、至極合理的な理由から9%になっているというわけなのだ。