特殊清掃ビジネスに「新型コロナ特需」が生まれた

特殊清掃業者の活躍の舞台はDP号だけではない。各地の特殊清掃業者では、新型コロナウイルス関連の「特需」が生まれつつあるという。

福岡県久留米市に本社がある「友心まごころサービス」では、高齢者施設やパチンコ店などから、施設内の除菌に関する依頼が急増しているという。

写真=iStock.com/tupungato
※写真はイメージです

友心まごころサービスは代表の岩橋ひろし氏が2011年に開業した、特殊清掃業界の草分け的存在である。同社のある福岡県では、新型コロナウイルスの感染者数が3月21日現在で5人。首都圏や関西圏に比べて感染数は少ないが、社会不安は広がっている。飲食やホテル、アミューズメント産業などへの経済的影響も出始めている。

同社への依頼は特殊清掃現場で使用する薬剤の提供が多いという。

岩橋氏はいう。

「アルコールの液剤は品薄が続いていますが、われわれは別の除菌薬剤の供給ルートを持っています。薬剤の成分は安定型次亜塩素酸ナトリウム。インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの不活化に高い効力があり、新型コロナウイルスの不活化にも期待ができ、人体への害はありません。パチンコ店や高齢者施設から『岩橋さんの会社で使っている薬剤を提供してほしい』という依頼が相次いでいます。いま、われわれが業務用で使っていたものを、小売りできるように生産体制を整えているところです。博多・中洲の歓楽街などでも客足が遠のいています。『コロナ対策をしている』ということを、いかに早期に打ち出せるかが、カギになってくるでしょう」

除菌や防疫の技術ないのに「コロナ除染、多数実績あり」

ただし、懸念材料もある。先述のように特殊清掃業者数は現在6000社ほどにまで膨れ上がっている。先述の惟村氏や岩橋氏らによれば、除菌や防疫のノウハウもない業者も少なくなく、業界全体が玉石混交状態という。

「自社サイトで『コロナ除染、多数実績あり』などと過剰に謳っている業者が出始めていますが、本当かな? と疑って見ています。きちんとしたノウハウを持たないのにウイルスが蔓延する現場で作業をすると、逆に感染拡大の要因をつくってしまう」(惟村氏)

ではどうやって見極めればよいのか。

惟村氏は「一定程度(数年以上)の特殊清掃業歴があるかどうか」「本業として特殊清掃をやっているかどうか(コロナ騒ぎに乗じていきなり商売を始めていないか)」がポイントという。

いずれにせよ、特殊清掃業界が新型コロナウイルスの感染拡大防止の「縁の下の力持ち」として存在感を示しつつあるのは、確かなようだ。

関連記事
新型コロナウイルスで「やってはいけない」5つのNG行動
橋下徹「なぜ今、日本では新型コロナの検査を拡大してはいけないか」
「全身が緑色」解剖医がみた孤独死の最期
なぜ、年金受給者はラブホテルに通うのか。「濡れなくても、謳歌できる」その訳。