文庫・書籍、ぬりえ無料印刷~中長期的「巣ごもり」視野
3月に入ると「巣ごもり」消費のトレンドがやや変わる。ローソンでは米の売上高が急伸し、レトルト食品や冷凍食品を上回る伸びを見せた。コロナの対策が長期化の様相を帯びてきたため、先々の消費を考えた「買いだめ」が加速したようだ。続いて文庫・書籍が伸びている。玩具に飽きた後は読書と勉強ということか。中でも目立つのがハンドソープで、2月時点で前年比3.4倍だった実績が3月は6倍にも伸びた。新型コロナウイルスの感染防止には、外出先から戻ったら、手洗いをしっかり行うことが早道という知識の普及が背景にありそうだ。トイレットペーパーやティッシュは商品が出回りはじめ、伸びが鈍化してきた。
いっぽうで買いだめの利かない、袋入りの菓子パンも堅調だ。大手ベーカリーチェーンでは、感染防止の観点から、棚に並んだパンを自分で取るのではなく、あらかじめ袋詰めしたパンを買う形式に変えているところが少なくない。そうした流れの余波が菓子パン人気にもつながっているようだ。加えて3月14日から開始した、マルチコピー機からキャラクターぬりえを無料印刷できるサービスが5日間で23万枚を発行する人気となった。親子で楽しめる点がヒットの理由らしく、あの手この手で店頭に誘致するサービス合戦の様相を帯びてきた。
主婦層のパート少なく、スタッフは確保
こうした商品はコンビニでなくてもスーパーやドラッグストアでも買える。それでもコンビニが堅調なのは、遠出をせずとも近所でいつでも買えるメリットが大きい。営業時間を短縮している大型小売店が多い中、普通に24時間営業をしているコンビニはありがたい。
「いつでもあいている」のは、店頭スタッフが確保できているからでもある。裏を返せば、学校の休講で自宅待機となった子供たちの面倒を見なければならないお母さんたちのアルバイトが少ない、ということだ。
コンビニ業界は長く従業員確保が課題となっていた。商品の陳列や調理など、店内の仕事は重労働でも知られる。学生のアルバイトや主婦層のパートは次第に集まらなくなり、現在の中心層は都市部では留学生だ。接客は日本語を学ぶのによい機会でもある。「一部に主婦層のパートが来られなくなった店舗があるが、スタッフは総じて確保できている」(大手コンビニチェーン)という。いつも営業しており、一定数の商品が並ぶコンビニを改めて「社会インフラ」として見直す機運が高まりそうだ。