言葉を使い分けられる親は、子供の心を動かせる

「やる気がないなら受験なんてやめちゃいなさい!」
「そんなんで、合格できると思っているの?」

相手にダメージを与えれば、変わると思っているかのような、いつものセリフ。でも、そう言われて、心を正す子などいるだろうか。「うるせぇ、ばばぁ」と、反抗するのがオチだろう。

親が時と場合に応じて言葉を使い分けていると、相手の心を動かすことができる瞬間が出現する。励まし上手な親の子は、いろいろな言葉や言い回しを使い分けている。

子供は親の言葉を吸収しながら、言葉を覚えていく。相手が子供だからといって、簡単な言葉ばかり投げていては、子供の国語力は育たない。親子の会話の中でも、ときどき難しい言葉を入れてみたり、慣用句やことわざを使ってみたりすると、子供は言葉を覚える。

幼い子供は、ときに間違った言葉を使ってしまうことがある。そんなときは、「ま、いいか」と流さずに、親は正しく教えてほしい。わが子に言葉を教えるのは、親なのだ。また、子供が新しい言葉を使ったら、ほめてあげてほしい。子供は使うことで言葉を覚えていく。

「辞書で調べなさい」の落とし穴

分からない言葉があると、よく「辞書で調べなさい」と親は言う。けれども、子供にとっては辞書に書いてある言葉が分かりづらいこともある。なぜなら辞書は、抽象的な事柄を、別の抽象的な言葉を使って説明してあることが多いからだ。そういう場合は、親が子供にわかりやすい言葉で、似ている事柄を教えてあげるといいだろう。

子供の国語力を伸ばしたければ、「本読み」だけにこだわってはいけない。聞くことと話すことの質量が大切なのだ。上手に話せるようになった子は、少しの練習で上手に書けるようになる。

そして、「聞く」「話す」の練習の中心はどうしても家庭になる。親の言葉を聞いて語彙を増やし、親の言い回しをまねて、文章力を高めていくことを忘れないでほしい。

(構成=石渡真由美)
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