テイクアウトを含めて考えるスタバの出店
飲食店において、イートインとテイクアウトのどちらを重視するかも、エリア戦略を読み解くヒントとなります。都心部のスターバックスは、店内で飲食するイートインと持ち帰るテイクアウトがほぼ半々くらいと言われています。すると、店舗の席数が50席でも、テイクアウトを入れると100席分が売れるというわけです。
同じくコーヒーチェーンの上島珈琲店は、テイクアウトが非常に少なく、8:2か9:1で圧倒的にイートインが多いのです。そうなると、同じ広さの店舗であれば、スターバックスは上島珈琲店より売上を倍とれるということです。
テイクアウトを利用するお客様が多ければ、必ずしも広いイートインスペースにこだわって出店する必要はありません。オフィスビルの小さな一角、イートインスペースがほぼないようなところに出店しているスターバックスを、みなさんも見たことがあるかもしれません。コーヒーをテイクアウトしてオフィスに戻る、そんな使い方をする人も多いはずです。
コメダの「エリア戦略×ビジネスモデル」
そんなスターバックスと真逆の店舗展開をしているのが、コメダ珈琲店です。コメダ珈琲店は、ファミレスくらいの大きな店舗を構え、広い駐車場を完備しています。客席を多くして、ゆっくり過ごしてもらう戦略です。
そういう意味では、コメダ珈琲店のビジネスモデルは都心などのエリア向きではないと言えます。1日をかけてゆっくり人が入れ替わるスタイルを都心に持ってこようとしても、うまくいかないでしょう。
まず、広い店舗を確保するのがなかなか難しいです。確保できたとしても、広い分、賃料も高くなります。さらに、滞在する人のスタイルもさまざまです。みんながゆっくりと滞在するわけでもありません。あるいは、ゆっくり滞在したい人が多いけれど席数が少ないため、お客様が入れ替わらずに長い列ができてしまうことも想定されます。
ですから、スターバックスが最も出店している千代田区には、コメダ珈琲店は1店舗もありません。同じコーヒーチェーンでも、これだけ出店戦略、選ぶエリアに違いがあるのです。
以上を見て、同じ大手でもそのエリア戦略には明確な差があることがおわかりいただけたと思います。