「ステーキ200グラムに含まれるタンパク質量がどれくらいかわかりますか。たった35グラム程度です。高齢者で一日にステーキを2枚食べるのは難しいでしょう。魚や卵、大豆製品など多くの種類から摂る必要があります」(同)

管理栄養士の望月理恵子さんは「運動直後のタンパク質摂取」を勧める。

「ちょっと散歩に行った後や体を動かした後にタンパク質を摂ると、筋肉の修復源として体内で効率的に使われ、筋肉増強に役立ちます。豆腐などの植物性タンパク質の吸収は70~90%と少なめですが、肉や魚、乳製品などの動物性タンパク質は90~99%と吸収されやすい。動いた後や、臓器が活発に動いている日中は動物性タンパク質、臓器の活動が低下する夕食は植物性を中心にするといいでしょう」

友人と外食するような人は、フレイルになりにくい

肉を食べると、どうも胃がもたれやすいというときは、「酸っぱいもの」で胃酸の分泌を促したり、消化力を高めたり胃の修復作用があるキャベツや山芋を肉より前に食べるという手も。

それも無理という高齢者は、ゼリータイプのタンパク質補給でもいいが、常用しないこと。「噛む」ことで唾液が分泌され、唾液中のパロチンという成分が筋肉や骨の発達を促進する。

「身体面のフレイルには口のまわりの筋肉の衰えとして、オーラルフレイルも含まれます。白身魚、うどん、豆腐など噛む必要性が少ない、のみ込みやすいものばかりを食べていると、咀嚼筋が衰えて一層噛めなくなるという負の連鎖が起きてしまう」(飯島教授)

飯島教授は多くの研究を分析し、オーラルフレイルにつながりやすい6項目をチェックリストにしている(図2)。オーラルフレイルの人は口腔機能が正常の人と比べて、死亡や要介護認定のリスクが2倍以上。誤嚥性肺炎などの疾患も併発しやすくなる。

食事環境も重要だ。「1日1回は誰かと食事をする」群より「いつも1人で食べる」群のほうがうつ傾向が高い。ここでポイントは「独居」が危ないのではない。独居でも、友人と外食するような人は、フレイルになりにくい。

「同居家族がいるにもかかわらず、いつも孤食であると、うつ傾向、栄養状態や食品種類の多様性の低下、歩行速度などの身体能力まで低下しているという研究結果でした」(同)