中国湘北省・武漢市に端を発する新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)の流行が続いている。2月13日には国内初の死亡例が報告された。すでに国内でも感染が始まっていると考えて行動する時期がきたようだ。国立がん研究センター中央病院感染症部長の岩田敏先生に、これからの注意点についてお話を聞いた(取材日:2020年2月12日)。

油断は禁物だが、現時点では過度な心配は不要

中国湘北省・武漢市で新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)の流行が報告されてから、およそ2カ月が過ぎた。2020年2月13日12時現在、中国国内の患者数は6万人にせまる5万9千805人、死亡者は1,367人に達した。日本国内の感染者数は28人(クルーズ船内での感染例を除く)だった。

国立がん研究センター 中央病院 感染症部長 岩田 敏さん
国立がん研究センター 中央病院 感染症部長 岩田 敏さん

ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センターは、COVID-19の広がりをリアルタイムで追えるマップを公開している。現時点では中国国外での感染例は最小にとどまっているが、油断は禁物だ。

「現在、日本国内の感染者は全員が中国本土からの帰国者や旅行者と接触した人に限られ、きちんと足跡を追えています。つまり、立ち寄り先や濃厚に接触した人をトレースして、入院、隔離するなどの対応が取れているわけです。ただし、感染ルートをはっきりと追うことができない感染例が広がった場合は、日本国内の警戒フェーズを一段階あげる必要があります」と岩田先生は指摘する。