感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」

新型コロナウイルスの主な感染経路は①「飛沫感染」と②「接触感染」の二つで、①の「飛沫感染」は感染者のくしゃみや咳のしぶきと一緒に放出したウイルスを、第三者が吸い込んで生じる。

②の「接触感染」は、感染者が咳やくしゃみのしぶきなどで汚染された手でドアノブや手すり、共有パソコンなどの備品を触ると接触表面にウイルスが付着し、その表面に触れた第三者の手や指を介して、口や鼻の粘膜から感染するというもの。汚染された手で目をこすれば結膜からの感染リスクも生じる。今の時点で、備品表面に付着した新型コロナウイルスがいつまで感染力を保っているかはわからないが、金属やプラスチックなどの表面では数日間は生きている可能性があるので、注意をするのに越したことはない。

予防にはまず手洗い、マスクは「他人にうつさない」ため

ただ、COVID-19が発生してからマスクの品薄状態が続き、SNSで手作りマスクの作り方が紹介されているほどだ。同時に「マスクに感染を防ぐ効果はない」という噂も飛び交っている。その辺はどうなのだろう。

「マスクはくしゃみのしぶきを吸い込まないためというより、感染者がしぶきを介して他人に移さないための手段という側面が強いですね。感染予防にはマスクよりも、咳エチケットや石けんやアルコール消毒液での手洗いが大切です。特に帰宅した時や食事の前には、指先や爪の間も念入りに洗いましょう」。

手や指を洗う時は石けんを塗りつけて、物理的にごしごしと手をこすり合わせた後、流水で洗い流すといい。アルコール消毒液やジェルを利用する際は、指から甲までしっかり擦り込み、手のひらに吹き付けたアルコールをひっかくようにすると指先や爪の間も消毒ができる。

手作りマスクを使う場合は、内側のガーゼをこまめに取り替える、外側は水洗いして乾燥させ再利用するなどで対応しよう。ただし、飛沫に含まれるウイルスはわずかな隙間から入り込む。むしろ咳、鼻水、くしゃみ、発熱など感冒様症状がある人に優先的にマスクを回すことが、結果的に感染拡大を防ぐことにつながりそうだ。