増税後に真価を発揮した「お得感」
この好調を牽引したのは「お得感」だ。消費税増税後、その真価を発揮した。
昨年10月の増税の際、マクドナルドでは店内飲食(税率10%)と持ち帰り(同8%)で価格を統一し、商品の3割は税込み価格を10円引き上げた一方、7割は税込み価格を据え置いた。税込み価格を据え置いた商品を店内で飲食する場合は実質値下げとなるので、これがお得感につながった。
また、10月から期間限定で100円~200円(以下すべて税込み)の低価格メニュー「ちょいマック」(旧おてごろマック)に「スパイシーチキンバーガー(スパチキ)」(200円)を追加したほか、「プレミアムローストコーヒー(ホット)」(Sサイズ100円、Mサイズ150円)を2年9カ月ぶりに全面リニューアルし、無料配布するキャンペーンも行った。こうした施策も、「マクドナルドはお得」というイメージを与えた。
増税後に苦戦を強いられた外食チェーンもあったが、マクドナルドの業績は好調を保った。10月の既存店客数は前年同月比2.4%減ったものの、11月は4.3%増、12月が3.0%増、今年1月が1.5%増とプラスが続いている。
スパチキ追加やコーヒー刷新の成功を受けてか、1月からは「おてごろマック」の名称を「ちょいマック」に改めてスパチキの販売期間を延長したほか、「プレミアムローストコーヒー(ホット)」Mサイズを期間限定で50円引きの100円で販売するキャンペーンを行っている。
他チェーンの追随を許さない安さ
低価格メニューの打ち出しが功を奏していることから、やはりマクドナルドの強さは「価格の安さ」にあるといえる。「スパチキ」など「ちょいマック」のハンバーガーはどれも200円で十分安い上に、レギュラーメニューでも「ハンバーガー」「チキンクリスプ」がいずれも110円と圧倒的に安いハンバーガーが存在する。
これほど安いハンバーガーを提供するチェーンは他にないだろう。人気チェーンのバーガーメニューでいちばん安いのはいずれもシンプルなハンバーガーだが、ロッテリアでは170円(税抜)、モスバーガーでは204円(税抜)、ドムドムで240円(税込)と、マクドナルドには太刀打ちできない。
ドリンクも同様だ。マクドナルドはSサイズ100円のドリンクを多数取りそろえている。いずれのチェーンもそこまでの低価格路線は採っていない。
18年1月に「カフェラテ」を全面リニューアルし、Sサイズを50円値下げして150円で販売を始めたことも、マクドナルドの低価格路線の象徴といえるだろう。これによりコンビニと同程度の価格となり、コンビニとも十分戦えるようになった。