倫理が優先される世界では人類が滅びる可能性も

一方、不倫が芸術作品の原動力になってきた面もあります。柳原白蓮、林芙美子、太宰治、瀬戸内寂聴、檀一雄……不倫を創作のエネルギーにしてきた作家は枚挙にいとまがありません。

海外を見ても、不倫を芸術作品に昇華させた著名人は、ゲーテ、ハイドン、チャイコフスキー、ジョン・レノン、エリック・クラプトン……こちらも数え上げればきりがありません。

中野信子『空気を読む脳』(講談社+α新書)

不倫戦略が繁殖適応的である環境が存在する以上、この先不倫がなくなることはないだろうと考えられます。むしろ、繁殖適応的でもないのに人間のあとづけによる「倫理」があらゆる環境で優先されていけば、人類そのものがなくなる可能性すら生じます。

一方で、ややこしいことですが、社会性を優先し、不倫バッシングを「快感」とする機構が私たちの脳に存在する以上、不倫バッシングもなくなることはないでしょう。

バッシングされてしまうとわかっていても、不倫をしてしまう、他人のことをとやかく言えた義理ではないのに、自分のことは棚にあげて、不倫バッシングにいそしむ……この絶対的自己矛盾の中で人類が生きているからこそ、さまざまな物語が生まれるのかもしれません。

とはいえ、ごく個人的には、やっぱりパートナーが不倫したら割り切れない気持ちは残るかもしれないなあ……というのも本音ではあります。

関連記事
なぜ週刊誌は芸能人の妻に「夫の不倫の感想」をネチネチと聞くのか
「女性とカネ」進次郎はどこまで自分に甘いのか
「首相補佐官とスイートルーム外遊」それでも厚労省女性幹部が更迭されない理由
なぜ「既婚者と知らずに不倫してしまう」女性は28歳が多いか
なぜ女性はお互いの足を引っ張りあうのか