こだわりでチャンスをつぶしていたことに気づく

ここまで整理したうえで、改めてN選手に、まくり差しをやり続ける必要性について考えてもらいました。N選手は、「まくり差しにこだわらず、レースではどのコースでも勝てるようにすること。そして、インコースが取れるときは確実に取ること」を意識するようになりました。

新人時代は6コースからのスタートになりやすく、それでもたまに4コースとなることがあります。そんな貴重な機会があっても、N選手はまくり差しを狙うため、わざわざアウトコースにばかり行っていました。そうではなく、インコース近くからスタートするときは、なるべくインコース寄りで走るようになったのです。まくり差しにこだわりすぎて選手生命を短くしてしまっては、本末転倒ということも理解しました。

新たな目標を立てた結果、N選手は見事、初勝利を収めることができました。あれだけ6コースからの勝負にこだわっていたN選手でしたが、初勝利は4コースからのスタートでした。インコースが有利なことに変わりはありません。しかしこの勝利により、アウトコースにこだわることで、勝利のチャンスを自らつぶしていたことにも気づいたのです。

勝負に勝ちたいなら本質を見極めよ

このように、勝負に勝ちたいのであれば、その本質がどこにあるのかをしっかりと見極める必要があります。結果を出すためにどこに注力すべきか。メンバーが目標としていることが、その先の真の目的にきちんとつながっているか。迷ったら、その目標のメリットとデメリットを書き出してみて、冷静に考えるようにしましょう。

メリットとデメリットを羅列してみるだけでも、感情論ではなく、冷静に考えられるようになるはずです。目標を立てて満足するのではなく、リーダーが一緒に中身まで精査することで、メンバーが「出したい結果を出す」ことに大きな効果が期待できるのです。

関連記事
二流のリーダーほど「すぐやれ」と言い出すワケ
プロ野球で「打てる捕手」が希少である本質的な理由
日本を勝たせるため五郎丸歩たちが下した決断
一流のリーダーは「で、どうしますか?」と聞く
会社が絶対手放さない、優秀人材6タイプ