いわゆる国際ハブ空港は、自国を目的地とする旅客だけでなく、そこからさらに第三国に向けて送り出す中継地でもある。そうしたトランジット客は数時間を空港内で過ごす。そのニーズに対応するために、巨大ハブ空港はショッピングや食事、あるいは各種のエンターテインメント機能を備える。

それを空港の国際競争というなら、日本の空港は太刀打ちできない。規模の面だけ捉えても、羽田や成田に限らず、日本の主要空港にとっては、これ以上の物理的な拡張は不可能に近い。

「ハブ機能としては本来24時間化されなければ弱い」(戸崎教授)。運用面でも競争力に欠けるのである。仮に24時間運用にしても、電車やモノレールが稼働していないという人員輸送上の課題を解決するのが次のステップになるだろう。

東京五輪の対策

世界の空港ランキングを見ると、規模面ではアトランタ、ロサンゼルスなどアメリカの空港が上位を占め、エンターテインメント性ではチャンギなどに日本の空港は及ばない。日本の空港が評価されるのは、例えば「空港内の清潔さ」であり、「スタッフのサービス」である。その点で20年の東京オリンピックは、日本の各空港にとって、あらためてサービスの質をアピールするかっこうの舞台となるだろう。一方で、戸崎教授は2つの点で懸念を示す。

「1つは災害対策です。ラグビーのW杯でも台風で試合が中止になりましたが、オリンピックは短期間で行われるので、そのタイミングで天候が悪化したときにどう対応するのかは充分な対策が必要」だという。近年の台風上陸で成田空港も関西国際空港も被害を受け、旅客が足止めされるという影響が出た。もちろん、湾岸空港としての羽田空港も、周到な対策が不可欠である。海外からやってきた人との言葉や文化の違いに対応しながら事態を想定する必要がある。その意味でも、東京オリンピックは、乗り越えなければならない、最初の関門となる。