もう1つ戸崎教授が指摘するのが、プライベートジェットの対応だ。

「オリンピックなどのイベントでは世界からVIPがプライベートジェットに乗ってやってきます。東京五輪では少なくとも2000機がやってくる。それに対して羽田空港のプライベートジェットの発着枠は16しかありません。そのなかで運用しなければいけません。12年のロンドンオリンピックでは4年以上かけて準備をしたと聞いています」

カルロス・ゴーン被告の海外脱出で注目を集めたプライベートジェットはオリンピックでも焦点になりそうだ。

新サービス拡充

羽田空港では利用者の増加を見据え、20年3月からの国際線増便に合わせて現在の第2ターミナルの大改修を行っている。ハード面での整備だけではなく、さらにサービスなどソフト面の向上も急ぐ。

羽田空港の施設管理、店舗運営、飲食店の管理などサービスを提供する日本空港ビルデングではターミナルで働く社員全員に、お客様の案内などの一次対応ができるように簡単な英会話と手話の習得をさせているという。

さらに旅客の利便性と生産性が上がる作業についてはロボットの導入も進める。15年にはサイバーダインなどと提携し、荷物を運ぶ作業支援用ロボットを導入。また、清掃用のロボットなどを導入するなど省力化と清潔性の向上を目的に、応用範囲をさらに広げようとしている。

世界の空港は民営化が1つの潮流になっており、日本の地方空港でも続々と民営化が進む。それに伴い空港の経営は、着陸料を下げて航空会社を誘致して、集客をつのることで、ターミナルでの物販をはじめとするサービス事業で利益を上げ、空港全体を適正なコストで運営することが1つの焦点になっている。それがエアラインを誘致する際のインセンティブにもなる。

戸崎教授は「成田空港の場合、LCCでの滞在時間の長い人を意識して、家電量販店やユニクロなどが入っています。空港だけではなくて、周辺の人たちが来やすい施設をつくる流れは今後も続く」と指摘する。