MMTがよくわからない人へ

L・ランダル・レイ『MMT現代貨幣理論入門』(東洋経済新報社)

第9位『MMT現代貨幣理論入門』は、今話題のMMT(Modern Money Theory、現代貨幣理論)の基本的な考え方を、第一人者であるL・ランダム・レイ教授がわかりやすく解説したものです。

MMTは基本的に「自国通貨を発行できる政府は、財政赤字や債務比率を気にすることなく、躊躇なく財政出動するべきだ」という考えに立脚しており、異端の経済学として扱われています。主流派経済学になじみのある人にとっては、受け入れがたい内容かもしれません。

しかし、今行われている巨額の金融緩和やマイナス金利といったマクロ的な金融政策が、効果を上げているとは言いがたいのも確かです。日本でもMMTを経済政策に掲げる政党が現れており、今後の経済政策の在り方に一石を投じることになると予想されます。

MMTを理解することで、経済そのものへの見方が変わる。それだけの破壊力が、この本にはあります。

ビジネスエリートは「現代アート」を学ぶ

秋元雄史『アート思考』(プレジデント社)

最後にご紹介するのは、第13位『アート思考』です。

本書で取り上げられている「アート」とは、主に1980年代以降の「現代アート」を指します。日本における「現代アート」は比較的マイナーな位置づけにありますが、世界の美術界においては現代アートこそがメインストリーム。グローバルに活躍するビジネスエリートに欠かせない教養と考えられているのです。

東京藝術大学大学美術館長および教授である著者・秋元雄史氏は、「アートとは、ゼロから価値を生み出す創造的活動であり、ビジョンと、それを実現させるための内なる情熱が必要」といいます。この「アート」を「アントレプレナーシップ(起業家精神)」に置き換えてみても、まったく違和感がないのではないでしょうか。

これからの時代に求められるのは、「正しい問いを立てることができる洞察力とユニークな視点」です。本書を通じて、現代アートの奥深い世界の理解を深めていただければと思います。そこに、新しいビジネスを生み出す発想法があるはずです。

先月から引き続きランクインしたのは『他者と働く』(第4位→第15位)だけで、今月のランキングには新しい本が数多く登場しました。そのなかで『学びを結果に変える アウトプット大全』(第19位)は、要約の公開からすでに1年が経過しているにもかかわらず、根強い人気を保っています。来月のランキングはどうなるのか、引き続きご注目ください。

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