屋内で風力発電をするのは非現実的だ
<空気>
残念ながら、屋内の電力源としては、風力は良い選択とはいえない。空港内では大量の空気が循環しているが、排気ダクトから出てくる「風」は概して、蛇口から流れ出る水に比べはるかに少量のエネルギーしか持っていない。
手持ち扇風機程度の大きさの小さな風車を空調システムの排気格子に設置すると、おそらく約50ミリワットの電力を生み出すだろう。だが、これでは1台のスマホを充電しつづけるにも足りない。排気口全体を多数のファンで覆ったとしても、水道の蛇口から得られる電力の1%を得るにも苦労するに違いない。
これは屋外でも同じだ──流れる空気よりも、流れる水からのほうが電力を得るのはたやすい。そもそも空気を発電に使おうという理由は、空気のほうが水よりたくさんあるからだ。今あなたがこの本を読みながら微風を感じている可能性は十分あるが、川のなかに立っている可能性は低い。
世界には、川よりも風のほうがたくさんある。世界中の川が運ぶエネルギーの総量はテラワット(1兆ワット)のレベルだが、風が運ぶエネルギーの総量はペタワット(1000兆ワット)に近い。