空港で「水力発電」は可能か

<水>

空港に実際の川はないだろうが、多くの場合、流水は存在する。水は水道の蛇口や給水機の口から流れ出ているので、あなたが水力発電用のダムと同じような方法で、この水を使って発電できないという理由はない。

画像=『ハウ・トゥー

超小型水力発電ダムを一式作る必要はない(※3)。空港ビルの水道系統では、貯水タンクに貯めた水をパイプに流して使えるようにしてくれているので、ここまでのステップはすべて省略し、水道の蛇口や給水機の口に直接タービンを設置すればいい。

実際、このような小型タービンを製造する企業がいくつも存在する。こうしたタービンは、パイプに取りつけられた小型の装置を駆動するため、あるいは水圧安全弁があった位置に取りつけて水から利用可能なエネルギーを取り出すために、さまざまなところで利用されているのだ。

水道は引かれているが電気はない建物が多かった19世紀後半から20世紀前半にかけて、このような小型発電機──「水力発動機」とか「水力発電用ダイナモ」などと呼ばれた──が、束の間の人気を博した。

(※3)だが、あなたがほんとうに作りたいなら、ぜひ頑張って作ってほしい。

毎分15リットルの水で、数十台のスマホを充電できるが…

1本のパイプから得られる電力は、驚くほど大きな量になる。流れる水は多くのエネルギーを持っており、タービンの効率もかなり高い──小型のタービンでも水のエネルギーの80%を電気に変換でき、大型のタービンになると、これよりもさらに高効率が達成できる。

水圧2キログラム毎平方センチメートル(約2ヘクトパスカル)で流速約15リットル毎分の水流は40ワットを超える電力を生み出せるが、これだけの電力があれば、LED電球を数個点灯する、数十台のスマートフォンに充電する、あるいは小型ラップトップパソコンを複数のタブを開いて使うには十分だ。

あなたがこの方法で使っている電力は、元をたどれば、水道会社が動かしているポンプによって供給されていることになる。そもそもこのポンプこそが、水圧を生み出しているのだから。そのうち空港──あるいはその地域の水道局──の誰かが気づくだろう。だが、たとえ彼らが気づかなかったとしても、毎分15リットルの水はすぐに膨大な量になる。あなたがその水の代金を支払っているかどうかはともかく、その水を置く場所が必要になる。

ターミナルビルとジェット機をつなぐボーディング・ブリッジが下向きに傾斜しているのは言うまでもない……

画像=『ハウ・トゥー