環境省の電気代比較サイトが使える

エアコンにも同じことが言えます。私が幼い頃、エアコンをつけようとすると「電気代がもったいないから、もうちょっと我慢しよう」と父親によく言われました。しかし、いまのエアコンは消費電力量が圧倒的に減り、電気代も安く抑えられています。猛暑や厳冬で体調を崩し、仕事を休んだり病院に行ったりするコストを考えたら、エアコンをつけるコストのほうがはるかに安いのです。

旧式のエアコンを使い続けている場合、最新型に買い替えただけで、年間1万円程度、電気代が安くなることもあります。エアコンの場合も、購入コストは5~10年で元が取れる可能性があるわけです。

しんきゅうさん」という環境省が公開している電気代等の比較サイトがあります。ここに各メーカーの具体的な型式を入力すれば、年間どれくらいの電気代がかかるのかがわかります。対象は「冷蔵庫」「エアコン」「テレビ」「温水洗浄便座」「照明・器具・LED照明」です。

ものを買う時は「トータルコスト」で考える

家電量販店に行くときは、このURLをスマートフォンに入れてください。家にある家電の型番と、気になる新製品の型番を入力するだけで、どれくらいランニングコストが変わるかが具体的にわかります。

現在、家電メーカーは利益減少の中、環境に配慮した性能向上のための研究開発に力を注いでいます。それによって節電、節水機能は飛躍的な進歩を遂げました。

買い替えは消費者としてトクをするのはもちろん、買い替えによって家電メーカーの利益も増えます。利益が上がったメーカーでは、さらに研究が進み、10年後にはもっと優れた製品が開発されるかもしれません。消費活動がさかんになれば景気回復の助けにもなるでしょう。まさに一挙両得以上のトクと言えます。ですから古い家電を使い続けている人には、私は新製品への買い替えをおすすめします。

ここで私がなにを言いたいかというと、商品を購入する際は、モノの値段のみならずモノに付随するリターンを含めた「トータルコスト」で考える必要がある、ということです。

「長期的に見てほんとうに安いのか」を購入価格という「点」で考えるのではなく、トータルコストという大きな「面」で考えることが重要なのです。(図表1)

画像=『日本人の給料はなぜ安いのか』