トータルコストを左右した「給油」

ただ、ここではひとまず、どちらも5年間乗り、購入価格の5分の1で売却、ハイブリッド車の燃費はガソリン車の倍、給油頻度はガソリン車が月1回、ハイブリッド車がその半分。給油価格は1回5000円と設定します。この仮定で計算すると、

【ガソリン車のトータルコスト】
150万円+5000円×1回(月)×60カ月-150万円×20%=150万円+30万円-30万円=150万円

【ハイブリッド車のトータルコスト】
170万円+5000円×0,5回(月)×60カ月-170万円×20%=170万円+15万円-34万円=151万円
坂口孝則『日本人の給料はなぜこんなに安いのか 生活の中にある「コスト」と「リターン」の経済学』(SB新書)

結果、ランニングコストで優位に思えたはずのハイブリッド車は、それほどおトクでないことがわかります。購入価格はハイブリッド車のほうが余計にかかっていますが、トータルコストを左右したのは「給油」です。

つまり車を通勤等で毎日使い、給油回数が多い人ならハイブリッド車のリターンのほうが高く、月に数回、買い物やレジャーに使うだけで、給油が月1回程度ならガソリン車のほうがトクをするということです(これはあくまでも例なので、ハイブリッド車がダメなわけではありません)。

「AとB、どちらを買えばトクだろうか」と迷ったときは以上を参考に、

・購入価格(初期コスト)
・付帯費用(ランニングコスト)
・売却価格(出口価格)

この3つを計算してください。あくまで仮定ですから、正確な数字でなくてもかまいません。およその検討をつけるだけで結構です。ただ、かかる「コスト」を冷静にジャッジするとともに「出口」(売却)から考える視点をもつことが大切であることは理解してください。

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