期間に応じて料金を支払う「サブスクリプション」のサービスが広がっている。調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏は「サブスクリプションは消費者の『迷いたくない』という悩みを解決したが、世の中はコスト意識のない買い物を提供する方向に進んでいる。そのうち『無料配布の冷蔵庫』も登場するはずだ」という――。

※本稿は、坂口孝則『日本人の給料はなぜこんなに安いのか 生活の中にある「コスト」と「リターン」の経済学』(SB新書)の一部を再編集したものです。

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加入した時点で思考停止に陥ってしまう

定額制で映画やテレビ番組を見られる動画配信サービスに加入している人は多いと思います。好きなときに好きなだけ映画を見られる便利さを享受してしまったら、なかなか離れることができませんよね。

中でも二強と言えるのが「Amazonプライム」と「Netflix」です。この2社は競合他社との競争に勝ち、圧倒的な立場に立ったあと月会費を値上げしました(「Amazonプライム」は2019年より月会費400円から500円(税込)に。「Netflix」は2018年より月会費650円から800円(税別・スタンダードコース)に)。それでも、それほどやめる人はいませんでした。

「hulu」「U‐NEXT」など、他の配信サービスも素晴らしいのですが、人間は一度どこかに加入したら、他に乗り換える人はなかなかいません。加入した時点で思考停止してしまうからです。