世の中は「勝手に注文する冷蔵庫」の実現に向かっている

映画などの動画サービスのみならず、買い物についても特定のサービスに登録している人は多いでしょう。たとえばAmazonは「アマゾンダッシュボタン」機能を発表しました。これは洗剤などの消耗品が切れたら、ダッシュボタンを押すだけで補充できるしくみです。スマートスピーカーに声をかけるだけで、補充発注をしてくれますので非常に便利。いろいろ考えたくない消費者にはぴったりのシステムです。

私はそのうち冷蔵庫がタダで配られる時代になると予想しています。無料冷蔵庫は無数のセンサーとともにネットにつながれ、家族の誰がなにをどの程度消費したかを把握します。このデータがネット配送の業者に共有されると、冷蔵庫のユーザーのもとには、消費したぶんの食品や飲料が補充され、自動的にネット決済が完了するしくみです。

これらは一見、ラクでムダのない買い物のように思えます。しかしコスト意識のまったくない買い方です。気づいたらとても高い値段で買い物を続けていたり、必要なくなったものまで惰性で買い続けていたりするかもしれません。冷蔵庫はあくまでも私の予想ですが、世の中はこんな冷蔵庫を実現するために動いているように私には思えます。

サブスクリプションには3つのモデルがある

「迷いたくない」「考えたくない」「選択に時間をかけたくない」という消費者が増えると同時に、こうしたサブスクリプションサービス(毎月一定額を支払うことでサービスを受けられるシステム。「Amazonプライム」「Netflix」もこれにあたる)はますます増えると思います。

もちろん以前から定額制サービスはありました。牛乳配達もそうですし、新聞、雑誌の定期購読、DVDの借り放題サービスなどもそうでした。

こうしたサブスクリプションのモデルには3つあります。

①サブスクリプション低……毎月規定回数以上サービスを受ける場合、月額固定で払ったほうが割安になるサービス。たとえば喫茶店で月額3000円を支払うと、一食500円のモーニングが1カ月間、毎朝利用できるなど。

②サブスクリプション中……音楽配信、動画配信サービスなど、使用回数は無制限、商品自体はどんどん新しくなりどんどん増える。常に進化するサービス。

③サブスクリプション高……使用者の好みを分析し、オススメを提案する(貸し出す)サービス。ユーザー個々の嗜好や特性を把握することで、たとえばその人に合った衣類を毎月借り放題で貸し出すサービスなど。