「理屈はわかっているけど」に甘えない
ここに「A」という商品と、「B」という商品があるとします。
Aを買うためには最初に100万円が必要です。でも毎年の維持コストはかかりません。
一方、Bの価格は10万円。ただし、毎年10万円の維持費用が必要です。
この商品Aと商品Bを10年使うとすれば、トータルコストは次のようになります。
100万円+0円(年)×10年=100万円
【商品Bのトータルコスト】
10万円+10万円(年)×10年=110万円
つまり「商品A」を買ったほうが結果的に安くなるというわけです。(図表2)
ただこの方法を実行するには、少し勇気が必要かもしれませんね。理屈ではわかっていても、人によっては10年間かけて10万円トクをするよりも、いま100万円を支払うことに大きな「痛み」を感じることがあるからです。
「たしかに商品Aのほうがトータルでは安いかもしれない、けれどいま安いほうがいい」と、商品Bを選択してしまう……。まさに「理屈はわかっているけど」という状態です。でもモノの値段の損得をジャッジしたいなら、クールな視点をもつことです。
「売るときの価格」も考える
そしてもう一つ、重要な視点があります。
これについては新たな例で見ていきましょう。
ガソリン車とハイブリッド車を比べるとします。
一般的な普通ガソリン車が150万円、ハイブリッド車が170万円。ハイブリッド車は優遇税制が使えるので、定価より安く手に入るものとします。それでもガソリン車との差は20万円。かなり大きな金額です。しかしこの先ガソリンは高騰する可能性があり、ランニングコストを考えるとハイブリッド車を選んだ方が最終的なリターンが大きいかもしれません。そんな可能性があるときは、次のように考えます。
今回、新たに考えに入れたいのがこの「売却価格」です。コスト計算をするとき売却価格も加味すると、トータルコストの計算はより正確に行えます。車の売却価格は乗車年数やトレンドのみならず、車体のカラーによっても左右されます。ピンクの車は欲しい人が限られるので高くは売れにくい一方、黒や白の車はピンクの車に比べて売れやすい。ですから黒や白の車は売却価格が高くなります。
そこでそこまでこだわりがなく、いつかは買い替える可能性がある買い物をするときは、売却価格が高いものを選んで買う選択をするのも一つの手だと思います。このようにモノの購入は「出口から考える」こともトータルコストを考えるとき重要です。