2040年頃をピークに受給者は減り続ける

年金に関する誤解②:年金制度は崩壊する

私が大学生だった20年前から年金崩壊説はささやかれてきました。大学のとき、仲が良かった佐藤くんも「考えれば成り立つはずがないので、年金なんて払うやつがバカだ」と言っていました。しかし(世の中に100%はありませんが)私は次の2つの理由で年金制度は崩壊しないと考えています。

〈賦課方式だから〉

日本は現役世代が受給世代にお金を渡す「仕送り方式」です。現役世代が減っても、あくまで「減る」だけでゼロにはなりません。これはあくまで喩えですが、100人の若者と、30人の老人がいる村があったとします。それが30人の若者と、30人の老人になったとしても、年金保険料の総額が減るだけで、年金制度自体は崩壊しません。

ただしこの場合、受給金額は減らざるをえません。日本も現状、ただでさえ半分は、他の税金から補填されていると本書で説明しました。ですから今後はその比率を上げる必要があります。しかしその税金は、結局のところ国民の生活から捻出されるものですから、実質的な負担は上がるはずです。

さらには受給年齢の繰り下げや、現役世代の負担額アップもあるかもしれません。もっともそれこそが「崩壊」であると揶揄やゆされるわけですが、ほんとうの崩壊とは1円の受給もなくなることです。私はその可能性はまずないと考えています。

また、少子高齢化といいますが、人口の多い年金受給者層も、つねに増え続けるわけではありません。2040年頃がピークで、そのあと年金受給者は減り続けます。

選挙で「年金廃止」を掲げる党があるとは思えない

〈年金を廃止できる政治家がいないから〉

「老後に2000万円が足らない!」という説明であっても、政治家は火消しに躍起になりました。それが比較的現実的な数字であっても、国民に老後不安を抱かせる内容に政治家たちはフタをしたわけです。この状態で、私は年金を廃止できる政治家がいるとは思えません。

もちろん、「選挙後なら年金を廃止できるだろう」と言う人もいます。しかし、社会保障はどんな国政選挙であっても、大きな焦点の一つで、選挙に「年金廃止」を掲げる党があるとは思えません。万が一、年金を廃止したい党があったとしても、少なくとも、「社会保障の充実」くらいは書くでしょうから、それを完全に覆す政治家はいないはずです。いたらきっと、次の退陣を余儀なくされるでしょう。