・糖尿病
生活習慣病としてよく知られている糖尿病も、歯周病が影響している可能性が指摘されています。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、2016年(平成28年)に「糖尿病が強く疑われる者」の推計人数は1000万人となりました。
糖尿病には、血管障害・神経障害・網膜症・腎症などの合併症がありますが、近年、歯周病も合併症のひとつととらえられるようになりました。
糖尿病になることで歯周病になりやすくなり、また、歯周病になることで生成される炎症性物質が、血糖値を低下させる働きをするインスリンの働きを阻害することもわかりました。歯周病があることで、血糖コントロールがしにくくなるのです。
糖尿病のみならず、糖尿病が引き起こす合併症についても考慮すると、その脅威はかなり大きなものになります。
「自分は大丈夫」と楽観してはいけない
そのほかにも、誤嚥性肺炎や動脈硬化、骨粗鬆症、女性の場合は低体重児出産、早産の可能性が高まる……など、歯周病によるさまざまな体への悪影響が指摘されています。また近年では、歯周病の病原菌がアルツハイマー病の発病に関連しているという研究結果も出ています。
歯周病をきちんと治療し、予防することで、これらの命を脅かす病気にかかる可能性をぐっと下げることができるのです。
このように、歯周病はたんなる歯茎の疾患ではなく、命をも左右する重大な疾患です。しかし、日本人の多くがその事実に気づいていません。または気づいていても、「自分は大丈夫だろう」と楽観視しています。だから、日本人成人の8割が歯周病という深刻な状況なのです。
歯周病を防ぐためにも、適切な歯のメンテナンス、特にクリーニングが欠かせません。歯を適切にメンテナンスすることは、健康を守る上で必須なのです。