仕事で1週間のフランス出張

3年前にはフランス語を勉強した。「特に仕事で使う予定はなく、何となく勉強してみようと思い立ち、ベルリッツのフランス語コースに通い、中級レベルを取得しました」。勉強しているうちに、仕事で1週間のフランス出張に行くことになり、覚えたフランス語で仕事も現地での滞在生活もこなし、乗り切ったという。

写真は、隙間時間に利用する手書きでつくった用語メモ。

実はフランス語には、悔しい思い出があった。AGFで「ブレンディ」ブランドに携わった後、水野さんは30歳目前でマキシアム・ジャパン(当時)に転職した。「レミーマルタン」(コニャック)を中心とした洋酒の輸入会社で、本社はフランス。水野さんは、まだ日本になじみの薄いシャンパンなどのブランドマネージャーとなった。

新天地の上司にフランス人がいた。「その人が夕方になると、本社とフランス語でやりとりするのです。どうも日本人スタッフの悪口を言っているようでしたが、私には内容が理解できません。嫌な後味が残りましたね」

当時の社内共通語は英語と日本語で、フランス語は幹部以外にはさほど求められなかった。水野さんも英語を駆使して社内外のプレゼンをこなしたが、このときの体験が深層心理として残り、後にフランス語を学ぶ導線になったかもしれない。

マキシアムの社員はすべて転職組で、各人は正社員でも専門性を持ったプロ雇用者のような存在だった。専門性があるがゆえ、リスペクトの精神も身についたという。

水野さんは毎週更新するブログにも「勉強するということ」をテーマに書き、「学校向き」と「社会向き」という言葉を使った。この言葉を借りれば、卒業後の勉強再開は「社会向き」だろう。「大人の学び直しで何が必要か」という質問には、「これを学びたい、という自分の欲求と向き合うことだと思います」と答えた。

【心得】「これを学びたい」内なる声に耳を傾ける

(撮影=永井 浩)
関連記事
通信キャリア社員33歳の「月5万円副業」に密着
ファーストクラスの女性は何が一番違うか
一流のリーダーは「で、どうしますか?」と聞く
「年収1000万円超」大企業ミドルは本当に幸せか
東大医学部卒のノーベル賞受賞者が0人のワケ