エリート大学卒でも見つからない就職先
韓国教育部が発表した「2017年の高等教育機関卒業者の就職統計」によると、大学卒業生の就職率は66.2%だった。その内訳を見ると、医薬系学部と理工系学部の卒業生の就職率がそれぞれ82.8%と70.1%なのに比べ、人文系学部の卒業生の就職率は56.0%と唯一60%を超えることができなかった。日々厳しさを増す韓国の就職市場の中でも、最も不利なのがこの人文系出身者だ。
「え? 本当に人文系出身者の就職率が56.0%にもなるんですか。私の周りにまともに就職できた人なんてほとんどいないのに、不思議ですね」
ソウル市立大学・歴史学科4年に在学中の女子学生チェ・チョンミンさん(24歳)は、教育部の統計に首を傾げた。
ソウル市立大学はソウル市が設立した公立大学で、「半額登録金」という安い授業料で学生たちに人気だ。専攻によって違いはあるが、ソウルにある私立大学の授業料が年間800万~1000万ウォンが相場なのに対し、ソウル市立大学の授業料は1年間に240万ウォンと、全国でもいちばん安い。そのため、今では、全国から優秀な学生が集まる名門大学に成長した。
ソウル市立大学に入学するためには、全国の受験生の上位7~8%に入る成績でなければむずかしいとされる。チェさんは、1年間の浪人生活を経てソウル市立大学の歴史学科に入学した。しかし、エリート大学の4年生になったチェさんは、もう一度入試の時と同じような地獄を経験している。
「歴史学科は専攻を活かせる仕事があまりないため、就職率が低いので有名です。うちの学科の定員は28人ですが、1年上の先輩たちを見ると、一人も大手企業に就職できませんでした。最も良かったケースが公務員になった先輩だと聞きました。同期の中で今年卒業したのは3人だけで、残りは全員卒業を猶予しています。私は1年間休学したのでまだ4年生ですが、来年の1学期まで卒業猶予を申請して就職活動するつもりです」
増え続ける「就職準備生」
浪人と休学によって、同期より2歳年上のチェさんだが、就職できるという保証がない限り卒業するつもりはないという。既卒者は新卒より就職市場で不利だという先輩のアドバイスがあったからだ。
「会社側は履歴書に空白がある人を嫌うみたいです。大学を卒業してから何もせずひたすら就職準備をしていたら、活動的でない、実力が足りない、怠けているなどの否定的イメージを持たれてしまいます。だから、最近は卒業を猶予する人がとても多くなっています。うちの大学は、授業料の10%程度を払えば、卒業を1学期先送りすることができるんです」