「おしゃれな小ビン」のクラフトビールも缶が主流に
"さしつ、さされつ"文化の再評価とは別の文脈でも、ビンを目にする機会は増えている。アサヒビールは今年4月、スーパードライの新商品「ザ・クール」を小びんのみで発売した。
「海外では、ビンに直接口をつけて飲む文化がありますよね。
昨今のクラフトビールブームも、ビンの復権を後押しする。市販のクラフトビールは、小ビンを使用したブランドが圧倒的に多い。キリンビールが運営する「スプリングバレーブルワリー(SVB)東京」のマスターブリュワーでもある田山氏は、クラフトビールとビンの関係をこう語る。
「ブリュワーとしては、自分の大切な時間を、自分と向き合いながらクラフトビールと過ごしてほしいという思いがあります。クラフトビールを家庭で飲むなら、見た目がおしゃれで、サイズも1人用にちょうどいい小ビンがふさわしい」(田山氏)
ただ、ビンが主流のクラフトビールも、最近は缶が幅を利かせ始めている。キリンビールのクラフトビール「グランドキリン」は、2年前のリニューアル時に、小ビンから缶へと容器を変更させた。
「小ビンのおしゃれさが評価される一方で、お客さまからは『ビンは捨てるのが大変』という声がありました。流通においても、小ビンは334mlなのに、背が高いために500ml缶の棚を取るという問題があります。世界的にはクラフトビールも缶へのシフトが進んでいるのが現実です」(田山氏)
はたしてビンは再びメジャーな容器になりえるのか、それともやはり消えゆく運命なのか。そんなことを考えながら今夜も杯を重ねたいところである。