【法廷の迷セリフ2】

「好奇心…でしょうか。一度だけ自分を許そうと」

酔っぱらいの暴力事件やクスリ関係の事件では、悪いのは自分じゃなくて酒やクスリだと言い張る被告人が現れる。酒乱傾向のある男が酔って暴れて捕まれば、「酔っていて記憶がない」と言い、ケガをさせるつもりはなかったことを強調。セットでもれなく「もう酒はやめます」がついてくる。もちろん根拠はなく「反省している。今度こそやめられると思う」が常套句だ。

写真=iStock.com/LordHenriVoton
※写真はイメージです

クスリについても似たようなものだが、初めて捕まった非常習者には、売人から覚せい剤を買っておきながら、「クスリの一種としか思わず軽い気持ちで手を出した」などと見苦しい言い訳を並べる輩もいる。

「そうだとしても、法に触れることはわかったはずでしょ?」

検察に突っ込まれ、苦し紛れに発したセリフがこれだった。自分を許すってなんだそれ。それが通るなら、銃を買えば「一発だけ自分を許す」、人をだませば「ひとりだけ、自分を許す」になってしまう。だが、このようにとことん自分に甘い被告人は後を絶たないのだ。

【法廷の迷セリフ3】

「旅館に頼んで山の中で働かせてもらうことになりました。山ならコンビニもありません」

コンビニで年賀はがきを盗んだ常習犯(前科前歴15犯)。職業は旅館の番頭だと述べ、「自分がしたことをどう思うか」と尋ねられれば、すかさず涙をポロリと流す演技派だが、根っからの悪党ではないようで、仕事をしているのだからそこまで金に困ってもいない。

今回も、母親の葬式で集まった香典の返しの品を、親族などに宅配便で送る手配をしたとき、つい手が伸びてしまったらしい。

被告人の考えでは、盗む気はないのに、手癖が悪いため、ついやらかしてしまうのだという。ではどうすればいいのかと尋ねられ、ひねり出したのがこの珍回答だった。そういうことじゃないんだけどなぁ。