筆者が漫才師のツッコミに注目した理由

悲しいかな、筆者は、いまだにその習性が抜けきらない。テレビを見ていると、漫才師が高級腕時計をはめているのが目に留まった。ステージに立てられたマイクにかざし気味に腕をあげてツッコミを入れたのは、その腕時計をカメラがとらえることを狙っているようにも見えた。

「はは~ん、この漫才師は、なかなかいい税理士をつけているな」

と、思った。

どういうことか。漫才師の仕事は、漫才をすること。高級腕時計を趣味として購入したのであれば、必要経費にならないが、テレビ出演の際に着用していれば、舞台衣装として経費に算入できるというわけだ。まあ、その真意は明らかではないが……。

警察は、事件を追うのが仕事だ。事件が起こってから出動する。しかし、経済は毎日動いている。国税の調査官たちは、日々の生活を送りながら、年中無休で情報を収集しているといえるのだ。

税務調査に行って、「お前ら、警察より嫌いじゃ!」と吐き捨てられてきたのはそういう理由からだろう。

業務委託は納税も自己責任

さて、会社員の副業に話をもどしてみよう。副業と一口にいっても、2種類あることをご存じだろうか。それは、雇用契約を結んで仕事をしているのか、そうではないタイプのものかということだ。

時給いくらということで、雇用契約を結んでいるような副業であれば、年末に、給与所得の源泉徴収票が渡されるはずである。

注意しないといけないのは、源泉徴収をしていなかったり、源泉徴収で所得税を預かっているのに、源泉徴収票を発行しないという不届きな業者があるということだ。源泉徴収票が渡してもらえない場合は、きちんと請求することが大切だ。本業の源泉徴収票と副業の源泉徴収票を確定申告書の上で合算しさえすえば、申告は完了となる。場合によっては、所得税が還付される場合もあることも知っておくべきだろう。

面倒なのが、雇用契約ではない副業だ。自分で収入を計算し、必要経費も計算しなければならない。先に書いたブライダルカメラマンは、求人サイトで募集をしている。そこには、業務委託と書かれている場合がある。

雇用契約の場合は、拘束された時間内に与えられた仕事をすればそれでよい。しかし、業務委託の場合は、その責任も問われることを意味している。

頑張れば頑張った分だけ稼げるというプラス思考も大切だが、ミスをした場合のリスクを背負わなければならないのだということも理解しておくべきだ。加えてその利益は、自分で計算しなくてはならない。領収書を集めてはみたものの、これは必要経費にいれてもいいのだろうかと考え出すと、どんどん時間がたってしまう。

副業を始めたことで身体を休める時間がなくなり、家族との団らんの時間がなくなり……ということになってしまうと、本末転倒という結果になりかねない。

「時は金なり」という言葉がある。お金を得ることだけに時間を使うのか。いやいやそれ以外に、もっと大切なこと、こころを豊かにするために時間を使うのか。

たかが、副業、されど、副業である。

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