副業で63万円以上稼ぐと税務調査が現実味を帯びる

税務調査には、いろいろな種類がある。

一般事案と呼ばれるものは、電話で事前通知をし、約束した日時に臨場するというお行儀のよいものから、複数名が連絡もせず自宅、事務所、店舗、愛人宅まで、同時刻に一気に入る特調事案という手荒なものもある。

それ以外に、あまり知られていないが、筆者が現職の時、大阪国税局管内では、“事後処理”と呼ばれる調査があった。1件当たりにすると、追加の税金はそれほど多くはないが、どの項目が申告もれになっているか、ピンポイントでつかんでいるので、わざわざ現場まで足を運ばなくても税金をとれるという案件だ。税務署に居ながらにして、多くの数の修正申告をとれる。考えようによっては、効率のよい方法といえる。

よく知られているのが、扶養家族を否認することでの申告だ。離れて暮らす大学生の子どもが、扶養家族に入れる範囲を超えてアルバイト収入を得ていたことがわかり、父親が申告をし直すというもの。

この際、父親が追加の税金を払う計算の元になるのが、大学生の扶養控除の金額630,000円だ。特定扶養親族というものだが、控除対象扶養親族のうち、12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人は、控除額がこの金額になっているのだ。

副業をして所得を得た場合、いくら儲かったら申告をすべきなのか。筆者の個人的見解ではあるが、この630,000円という数字が一つの基準になると考えていいのかもしれない。扶養控除の是正は毎年行われる項目であり、最低でもこれくらいの増差所得であれば、1件とカウントするであろうと推測できるからだ。

税務調査官は私生活でもチェックにぬかりがない

副業の情報はどのように収集しているのか、一般の方には、興味のあるところだろう。実は、調査官たちは、親もいるし、兄弟もいる。恋愛もするし、結婚して子どもがいたりもする。いうまでもないことだが、職場を離れると、普通に生活しているわけだ。

が、一方で、調査官魂は染み付いている。筆者が、在職しているときのことだ。今振り替えってみると、自分独自の実績を残したいと思った上層部がいたのだろうと思う。365日、資料を収集せよということで、小さな特製のメモ帳のようなものが全職員に渡されたことがあった。とにかく毎日、情報を集めろと……。たくさん収集したものには金一封は出なかったが、賞状くらい付与されたような記憶もある。

そんなメモ帳を渡されなくても、調査官たちは、年がら年中、情報を集める癖がついている。情報収集は、SNSなど存在しなかった時代から、連綿と行われているのだ。