こっちだって寝てないんだよ!

ところが、これを即興でやろうとしても難しい。私は企業の社長の記者会見トレーニングも行っていますが、記者の意地の悪い質問に対して、裏では「あいつら、大嫌い!」と言って怒っていても、練習によって、会見場では「いい質問ですね」と、朗らかにかわすのがうまくなります。練習がないと、不祥事の際、記者からの質問にうまく答えられず、「こっちだって寝てないんだよ!」などとつい言ってしまったりするのです。

だから、家庭で役割を決めて練習するのもお勧めです。こう言われたら、こう返すと。ご夫婦でゲーム感覚でやってみる。何を言われようといつも朗らかな表情を保ち続ける。嫉妬する側は、不祥事の記者会見と同様、相手が悲しんだり怒ったりするのが見たいのだから、期待を裏切ればいいのです。攻撃しても、何のリアクションもなければ無駄骨になりますから。

気をつけたいのが「いや、そんなことないですよ!」と不快そうに反応すること。本人は謙遜のつもりでも「いや」や「でも」には相手を否定する意味が含まれるので、心理的リアクタンス(反発)の喚起により、相手をカチンとさせやすいのです。

私は企業研修の場では「相手に返事するときは『いや』や『でも』より、『ただ』で返しましょう」と伝えています。出世について嫌みを言われたら朗らかに反応したうえで、「ただ、旦那もすごく大変みたいで、帰りが12時過ぎで」とか「ただ、いつ転勤があるかわからなくて」などと返す。「ただ」の後に、苦労話を付け加えると、相手の溜飲が下がりやすくなるでしょう。

嫌みの言い甲斐がなくなる「暖簾に腕押し」状態が、一番効果があるんです。

【対策】夫婦で想定問答をシミュレーションしておく

(構成=篠原克周)
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