自然素材のスギ無垢材の部屋では「鎮静効果」
研究では、(1)床を木目柄ビニール(天井は白クロス)、(2)床と天井を木目柄ビニール(視覚が自然風)、(3)自然素材のスギ無垢材の部屋(視覚も香りも自然)に男性大学生を振り分け、3泊してもらった。それぞれの部屋の入室者の就寝前の自律神経を測定すると、自然素材のスギ無垢材の部屋で“鎮静効果”が確認できたのだ。
「(2)床と天井を木目柄ビニールの部屋でも、鎮静に傾きました。自然素材ほどではありませんが、視覚だけが自然風の刺激でも体に良い影響を与えるということですね」
ノンレム睡眠(深い眠り)にも影響が出た。(3)自然素材のスギ無垢材の部屋に泊まった学生は、(1)床を木目柄ビニール、に比べてノンレム睡眠の時間が平均して約25分も長かったのだ。
部屋の環境によって「偏差値で9ぐらいの差」が出る
さらに(3)の自然素材のスギ無垢材の部屋は、翌日の作業成績も高めた。(1)の部屋より(3)の部屋に宿泊した大学生のほうが、単純作業(タイピング)では9点、マインドマップ(連想ゲーム)では6点、成績が良い。これは偏差値でいうと「単純作業では9ぐらいの差」(伊香賀教授)というから驚きだ。
最近はビニールクロスの上から自然素材の壁紙を貼るタイプもある。手先が器用な人なら、自分でやってみてもいいかもしれない。
本格的な冬を迎える前に、まずはWHOが勧告する18度以上の室温を目指すこと。窓やカーテンを見直したり、部屋の隙間を埋める工夫をしよう。そして余裕があれば湿度、それから室内の仕上げ材料にも目を向けたい。
温かい家でゆっくり眠って心身の疲れを回復させ、翌日の仕事に備えるとともに、これからもずっと使う“脳神経の質”を大切に。