アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎が明らかに改善

室内を暖かく保つには「住宅の断熱性」が求められる。断熱とは文字通り、冬は外へ逃げていく熱を、夏は内側へ入ってくる“熱を断つ”こと。一番は壁や床などの断熱改修工事をすることで、コストはざっと100万円以上かかるが、これによりさまざまな健康状態が改善することがわかっている。

近畿大学建築学部の岩前篤教授が、約2万4000人を対象に「ほぼ無断熱の家から、そこそこ断熱された家に引っ越した人」を対象にした調査では、気管支喘息、のどの痛み、手足の冷え、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの8つの症状について明らかな改善が見られた(図表2)。

断熱グレードと改善率
近畿大学岩前篤教授らの研究による

しかし、実際にはそこまでコストをかけられない人が多いだろう。その場合、手軽にできて効果的な断熱ポイントは「窓」だ。夏は主に窓から日射熱が入ってくるが、反対に冬は室内の熱(暖かさ)の約60%が窓から逃げていく(図表3)。

足元がヒンヤリするのは「コールドドラフト現象」

特に暖房しているのに足元がヒンヤリする、窓から冷気が漂ってくるのは「コールドドラフト現象」と呼ばれ、窓からの冷気が部屋の内部に流れ込んでいる状態。1箇所につき3万~10万円程度の「内窓(二重窓)」を取り付けるか、複層ガラスでできている「高性能の窓」に交換するのがお勧めだ。古いタイプの住宅であっても、窓を見直すことで最新性能の住宅環境に近づくことができる。

近畿大学建築学部の岩前篤教授
近畿大学建築学部の岩前篤教授

その予算もない場合は、窓にプチプチタイプの断熱シートを貼ったり、厚手のカーテンをつるすと室内の暖かさを保ちやすいだろう。腰高窓でもカーテンを床まで垂らしたり、カーテンの裾と床の間に隙間ができてしまう場合はクッションを埋めたりすると、多少の効果が得られる。

とりわけ日常で使うことの多い「リビング」、その日の疲れを癒やす「寝室」の窓は“熱が逃げない対策”を心がけたい。

室温が13度未満になると、睡眠にもかなりの影響をおよぼす。