もう1つの人生を体験できる
もう一つの韓国ドラマの特徴は、長いということです。これは誰もが感じることでしょう。日本のドラマは12回程度ですが、韓国ドラマは20回でも短いほうです。100話を超えるものもあります。ですから、見ているとあたかもそれが自分の日常のようになってしまって、パラレルワールドを生きているような感覚にとらわれるのです。しかもストーリーが面白いので、1日に何話も見てしまいます。そうするともう現実であるかのように思えてしまうわけです。
留学生たちに訊いてみると、韓国ドラマは世界中で人気のようですが、もしかしたら日本人にとってはこのパラレルワールド感が人気に影響しているかもしれません。私がまさにそういう見方をしているのですが、日本と似ているのに少しちがうという部分に、もう一つの人生や可能性を見ているような気がするのです。人も似てるのに違う、社会も似ているのに違う。韓国の俳優やK‐POPスターに惹かれるのもそうした理由からではないでしょうか。
私が韓国ドラマに惹かれたのも、ストーリーの面白さに加えて、このパラレルワールド感を味わえる点にあったように思います。よく「何がきっかけで好きになったの?」と聞かれるのですが、実は別に韓国ドラマを見ようと思って見はじめたわけではないのです。
燃え尽き症候群も治った
去年の夏、はじめてレギュラーで半年出演したNHKの番組が終わって、やや燃え尽きた感覚にとらわれていました。しかし、翌春からは教授に昇格することが決まっており、ますます仕事を頑張らねばならないという状況でした。そこで、大学教授が奮闘する映画やドラマでも見て、やる気を出そうと思ったのです。
世界中のいろんな映画やドラマを見ましたが、その中でたまたま見た韓国ドラマ『サイムダン(師任堂)』に惹きつけられたのです。それからはもう大学教授が奮闘するとかそんなことはどうでもよくなって、ただ韓国ドラマばかりを見続けてしまったのです。そうして見ているうちに、どんでん返しの中でへこたれない人生を送る主人公たちに励まされ、いつしか私の燃え尽き症候群も治っていました。ドラマの主人公たちが、まるでパラレルワールドの中で頑張る自分に見えたのです。
以上のように、韓国ドラマの特徴は、ストーリーが山あり谷ありで面白いということと、全体が長いということの二つに集約できると思います。これらの点に着目すると、なぜ韓国ドラマが人生100年時代にぴったりなのかわかってもらえるのではないかと思います。