女性の就業者数が3000万人を超えたことがニュースになっている。15~64歳の女性の就業率も伸び、先進国のなかでも高い水準に。しかしその中身を詳しくみてみると、その数字が見掛け倒しであると言わざるをえない――。
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増えた女性就業者の8割が非正規

女性の就業者数が初めて3000万人を超えた(総務省「労働力調査」6月)。2012年12月の安倍政権誕生以来、約300万人増加し、男性も高齢者を中心に約100万人増加している。また、2018年の15~64歳の女性の就業率は69.6%に達し、先進国でも高い水準になった。女性と高齢者を労働市場に呼び込み、経済活性化を狙う「一億総活躍推進」が奏功したようにも見える。

しかし、その内実は少し異なる。女性就業者数は増加基調にあるのに、総労働時間は2018年秋を境に減少に転じている(労働力調査)。その背景には、女性の就業者が300万人増えたといっても、そのうち週35時間未満のパート労働者が全体の8割以上を占めているからだ。つまり増えたのは正社員ではなく、圧倒的多数が非正規社員ということになる。