増加する“隠れ専業主婦”とは?

もともと女性就業者に占める非正規の割合は高く、2018年も53.8%と全体の半数を占めている。この中には会社員の夫の扶養に入っている年収が130万円(社会保険料負担が発生)未満の女性も入っている。女性の非正規社員の3人に1人が夫の扶養に入るための就業調整をしているとの調査もある(2017年「就業構造基本調査」)。いわば“隠れ専業主婦”が増加していると見てもいいだろう。

専業主婦世帯と共働き世帯の比率は2000年までは拮抗きっこうしていたが、以降は専業主婦世帯が減少に転じ、2018年は600万世帯、逆に共働き世帯は1219万世帯と増加傾向にある。実際の専業主婦世帯にはパートの主婦は含まれないが、専業主婦世帯からパートに転じる隠れ専業主婦も多いと推測できる。

隠れ専業主婦が増える理由1:夫の収入減

なぜ隠れ専業主婦が増えているのか。その背景には夫の収入の減少がある。とくに子どもの教育費など出費も多い中高年世代の給与が下がっている。

「賃金構造基本統計調査」(厚労省)の一般労働者の「勤続年数階級による賃金カーブ」(所定内給与額、男性)を見ると明らかだ。「勤続0年」の給与水準を100とした場合の1995年と2016年の年齢ごとの比較では、20代前半から共に上がり続けるが、35~39歳から賃金カーブの乖離かいり幅が大きくなる。40~44歳になると1995年は200(2倍)に達し、さらに上昇し続けるが、2016年は45~49歳になっても200を下回り、50~54歳になってようやく200を超えるが、以降は下降していく。

22歳の大学卒の新卒初任給は約20万円であるが、95年は40歳を過ぎたあたりから40万円を超えて上昇するのに対し、2016年は50歳を超えないと40万円に達しないということになる。つまり全体的に40代以降の給与が以前より低下し、生活が苦しくなっている。