「僧侶は業者に使われる立場になったのか?」
「グーグルの検索でナンバーワンにしますから、仕事はいっぱい回ってきますよ」
今春、北関東の会場で僧侶派遣に新規参入した業者の説明会が行われた。担当者はこのように説明して、参加者の僧侶に登録を促したという。参加者は約20人。業者はさらに「うちは他社に比べてお坊さんの取り分が10%ほど多い」と強調。業者は僧侶の獲得に必死だ。
すでに2社に派遣登録しているという参加者の住職A氏は、
「ビジネスモデルとして、僧侶は業者に使われる立場になったということでしょうか」
と嘆きつつも、この会社でも登録することを決めた。
ロクにお経も読めない僧侶が派遣されることもある
ネット型僧侶派遣業とは、ECサイトや自社サイトなどを通じて決済し、登録されている僧侶を派遣し、読経してもらうサービスのことだ。業者は依頼主の宗派や所在地を鑑みて、条件に適合する僧侶とマッチングさせる。すると指定した日時、場所に僧侶がやってきて読経してもらえる仕組みだ。
しかし、ECサイトからの依頼では僧侶の属性などの丁寧な説明がなく、現場でトラブルが生じるケースもある。また登録される僧侶の「顔」が見えないという不透明さも不安材料だった。
先出の僧侶は言う。
「僧侶登録は実に簡単。この会社(先述の説明会をした業者)は、宗門の定める僧侶資格免状のコピーと免許証があれば、あとは電話面接するだけだという。免状なんか悪意があれば、簡単に偽造できてしまいますからね。派遣される僧侶がモグリであっても、依頼者には分からない。ロクにお経も読めない僧侶が登録されていたり、態度が悪い僧侶などもいたりして、クレームは少なくないようです」