2015年にアマゾンに出品、業績は昨年比150%超と好調
そんな中で、よりそうは僧侶派遣業の先駆的存在として頭角を現してきた。よりそうが「お坊さん便」を始めたのは2013年。その2年後の2015年にアマゾンに出品。すると、注文が急増し、話題をさらった。
「年間累計問い合わせ数は2014年度末実績に比べて、2018年度末は約13倍。直近の業績は昨年比で150%超(2019年第2四半期/新規外部受注分)と成長しています」(同社広報)。現在、同社に登録している僧侶は1300人超にも及ぶという。
しかし、アマゾンでの出品をスタートさせた当初、仏教界との軋轢も生じた。106の宗派や仏教団体が加盟する公益財団法人全日本仏教会は「お坊さん便」がマーケットプレイスを設けていたアマゾンに対して、「宗教行為をサービスとして商品にしているものであり、およそ諸外国の宗教事情をみても、このようなことを許している国はない」とホームページ上で抗議文を掲載していた。「ECサイト上で儀式を販売する」ということで、宗教者や宗教行為が「商品」として扱われてしまうことへの危惧であった。
今春に全日本仏教会との対話で「アマゾン撤退決定」
双方、対話の機会もなくサービス開始から4年が経過した2019年春。よりそう側と全日本仏教会との対話の機会が生まれた。その中で、よりそうはアマゾンからの撤退を提案。全日本仏教会も歓迎の意向を示したという。
「アマゾンの掲載によって仏事の価値が誤って理解されてしまった。仏事が不要なら我々も不要になります。正確な価値を伝えるため、アマゾンを取り下げることに決めました」(同社)
一方、よりそうの撤退に関してアマゾンジャパンは次のように回答した。
「販売事業者さまの販売計画などについては、アマゾンとして回答いたしかねます。販売事業者さまがアマゾンへの出品の停止を希望される場合は、販売事業者さまご自身のご判断にて、出品を停止することができます」(広報)
よりそうは、今後は主に自社サイトでの案内に一本化し、コールセンターを使ってより丁寧な僧侶仲介につとめるという。
また、布施の精神や、僧侶の品質向上を両立させる新しい施策として、「おきもち後払い」という新サービスも新設する。これは、「お坊さん便」を利用した後、満足度が高い法要だった場合には、施主が「お気持ち」として料金に布施を上乗せできる仕組みだという。つまり、感動的な儀式を執り行った僧侶の「袋の中身」は、より多くなる可能性がある。