「水と油」仏教界と葬儀業界が「接近」した結果……

同社は「全日本仏教会との意見交換は実りのあるものでした。双方抱いていた誤解が解けたと感じています。『おきもち後払い』はお坊さんの質の向上にもつながると確信しています。わが社では利用者に対してその後、檀家や門徒になることを制限していません。『お坊さん便』を通じ、ぜひお寺の檀家さんになってもらいたいし、今後、仏教界との共存共栄を図っていきたい」としている。

これまで仏教界と葬儀業界とは「水と油」と言われてきた。それだけに、よりそうの仏教界への「接近」は稀有けうな出来事といえる。

多死社会を受けて葬儀市場は拡大傾向にある。しかし、家族葬や1日葬、直葬など近年、葬送の「規模」が縮小。葬送を担っている団塊世代の強いコスト意識も相まって、客単価は下降線をたどっている。僧侶派遣業も競合他社の参入が相次ぎ、価格競争にさらされている。そんななか、いかに質の高い僧侶を登録させるかが課題だ。

仏教界は仏教界で、寺離れが進む。僧侶が介入しない葬送や離檀も増えつつあり、寺院収入は減り続けている。新たな信者や檀家獲得は悲願だ。

葬儀業界、仏教界の双方が淘汰の時代を迎える中で、いかに連携し合い、足りない要素を補完し合えるか否か。それが「弔いなき時代」の生き残りのカギだ。

※編集部註:「よりそう」は10月24日、僧侶派遣事業「お坊さん便」のアマゾン出品を終了すると発表した。(10月24日16時10分追記)

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