雷の発生の謎にさらに迫る
しかし、最近の研究で、下向きの地球ガンマ線フラッシュが発生することがわかったので、専門の検出器を設置すれば、この現象自体も捉えられるのではないかと思います。また、宇宙からの観測ももちろん重要です。20年には地球ガンマ線フラッシュを観測するための人工衛星がフランスから打ち上げられます。地上、宇宙の両方からガンマ線を観測することで、雷の発生の謎にさらに迫ることができるかもしれません」
和田研究員は、これまでの研究を「民間の方々のご協力がなければ、ここまで来ることはできませんでした」と振り返る。
「我々の研究チームは誕生してから19年で14年目になりますが、この研究の立ち上げ時には、学術系のクラウドファンディングサイト“academist”で、『カミナリ雲からの謎のガンマ線ビームを追え!』というプロジェクトで、一般の方々から資金を募りました。結果的に、150人以上の方からご賛同をいただき、目標金額であった100万円を大幅に上回る、160万円以上の支援をいただくことができました。
また、検出器の設置場所に関しても、石川県の金沢大学附属高等学校をはじめ、数多くの施設や自治体にご協力いただいています。『自然現象の謎を解明したい』という我々の熱意を応援してくださる方がいらっしゃること、そんな同じ熱意を共有する方々から協力をいただいて私たちが実験を行えていることは、非常にありがたいことです。今後も温かいご協力を賜って、成果に繋げていきたいと考えています」
今後も実験を続け、雷の謎を解明するためには、民間の協力は必要不可欠なものだといえるだろう。
古くから我々人類のそばにあり、私たちに神秘的な興味を抱かせ続けた雷の謎を、日本人が解明する日が来るかもしれない。