「悪いのは文在寅大統領である」との思いは変わらないが…
沙鴎一歩は韓国の文大統領が政治的解決を目指さず、元徴用工判決を黙認し続けた結果、ここまで日韓の関係が悪化したと批判してきた。「悪いのは文在寅大統領である」と糾弾した。その思いはいまも変わらない。
しかし日韓関係には改善の兆しがみられない。ここにきて日本も韓国もそれぞれが一歩、あるいは半歩、引き下がって考える時期に来ていると思う。
韓国で反日批判本が売れる理由を文大統領は理解していない。理解していないから、就任後1カ月余りで辞任に追い込まれる人物を法相に任命するのだ。
安倍晋三首相にしてもこのまま「元徴用工の問題は解決済みだ」と主張するだけだったら、文政権のように支持率を落とすに違いない。
韓国の法相辞任を社説で扱った全国紙は、産経新聞だけ
10月17日現在、韓国の法相辞任を社説で扱った全国紙は、産経新聞だけだった。産経新聞の社説(「主張」、10月16日付)は、韓国の文政権にこうかみついている。
「任命した文氏としては曺氏の辞任を区切りとして自身の支持率低下に歯止めをかけたいところだろう。だが、一連の混乱を招いた大きな理由は、文政権による司法への恣意的な人事にある」
「韓国国民の多くは、曺氏の法相就任に反発していた。曺氏の任命を強行した文氏は、今回の辞任劇で、自らが招いた誤った人事を猛省すべきである」
「恣意的な人事」に「任命を強行」や「誤った人事を猛省」など、いずれも他紙ではほとんど見られない強い表現である。
さらに産経社説は書き進める。
「韓国を取り巻く状況はまさに内憂外患だ。日韓関係だけでなく、融和政策を基軸とした南北関係も行き詰まっている。文政権は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を一方的に破棄し、日米韓の結束に影響が波及している」
「日韓関係」と「南北関係」。産経社説が指摘するように、文在寅大統領の失敗は明らかである。ただそんな大統領を安倍政権は相手にしていかなければならない。今後もその覚悟が強く求められる。