N国が憲法改正で安倍自民党と協調する可能性はある

二階氏といえば、野党にいた議員を自身が率いる自民党二階派に受け入れながら勢力拡大を図っていることで知られる。一例が民主党幹部として自民党と敵対してきた細野豪志氏。今は二階派入りし、自民党入党をうかがっている。上田氏が当選した場合、細野氏のような形で、二階氏と政治行動を共にする可能性はゼロではない。

二階派は「訳あり」の政治家を受け入れることで「自民党の駆け込み寺」などとありがたくないニックネームをつけられている。しばしば、党内他派閥との軋轢も生む。しかし、上田氏の「引き抜き」に成功すれば、それは安倍晋三首相をはじめ、自民党全体から歓迎されることになる。

「上田氏はもともと自民党側の政治家だった」という理屈が立てば、補選で不戦敗したことへの言い訳が立つ。さらに重要なのは、参院で改憲勢力が1つ増え、安倍氏の悲願である改憲発議のために必要な「3分の2」に1歩近づくこともできるのだ。しかも、戦わずして、それが実現できる。

もし補選で立花氏が勝つことになっても、シナリオはさほど変わらない。「『NHKをぶっ壊す』と安倍政権が手を組む可能性」で紹介した通り、N国は憲法改正などで安倍自民党と協調する可能性は十分ある。

参院埼玉選挙区補選は、もはや27日の投票日以降に関心が集まりつつあるのだ。選挙の後、当選した方の議員に、自民党がどのようなアプローチをかけるか……。そのドラマの主役は、補選で勝った参院議員ではなく80歳の老獪な政治家・二階氏ということになるのかもしれない。

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