あまりにもお粗末、進次郎と正恩の悲劇

2010年6月、人民軍のサッカーの試合を観覧した正恩氏が韓国との戦闘を想定し兵士らにこう語ったという(16年10月、韓国MBC)。

「弓を引くと音が出ないので、隠密性を保障できる」

比喩ではなく、文字通り音の出ない弓で韓国軍を攻撃すれば有利だということらしい。また、18年の金日成総合大学学報に掲載された論文内で、このような発言が引用されている。

「周波数の管理を徹底しなければなりません。周波数は国家の貴重な資源であり、周波数管理を科学化することで、無線通信と放送の効果を高めることができます」

「ご当地色に合わせて、いろいろ建てれば?」

非専門家である正恩氏に言われるまでもなく、周波数の管理はエンジニアにとって基本中の基本だ。また同年12月1日付の朝鮮中央通信では、水産工場を視察した正恩氏の発言をこのように報じている。

「捕獲した魚を取り扱う際は、汚染や変質させたりしないように」
「すべての工程において衛生学的要求を徹底的に守り厳格な秩序を保つこと」

要するに魚の衛生管理を徹底しろということだが、漁業関係者であれば言われなくとも当然のことである。

そして都市計画など、明らかに門外漢となる分野ではさらにざっくりとしたコメントとなることもある。19年6月1日付の労働新聞では、江界市と満浦市の建設計画図を見た正恩氏の発言内容をこのように報道している。

「都市形成では地方の固有な特性を生かすのが何よりも重要」
「(他の地域の経験を見習い)、地域の性格が生きるよう建築形成計画を科学的に立て、建築物を多様で特色ある形式で建て、市の姿を一新させなければならない」

規模の大きな話にはさすがに対応が難しいのか、要約すると「ご当地色に合わせて、いろいろ建てればいいのでは?」ということのようだ。