専門学校における留学生の受け入れ実態が、全くのブラックボックスであることが分かってもらえるだろう。東京福祉大の場合は、大学なので文部科学省が所轄している。文科省は、同大を「除籍」「退学」となった留学生の数は把握していたらしい。しかし、問題はTBS系列の「JNN」ニュースがスクープするまで公にはならなかった。
しかも所在不明者に関し、文科省は同大から「ゼロ」との報告を受けていたという。これでは内部関係者からメディアへのタレ込みでもない限り、専門学校や大学における問題は世に出ない。
留学生の違法就労問題は「各学校に任せている」
留学生の受け入れ数に関し、かつて専門学校には定員の5割以下とするよう規定があった。だが、この規定は2010年の文科省通知によって廃止された。08年から始まった「留学生30万人計画」によって、留学生を大幅に増やす政策が打ち出された影響だ。その結果、“偽装留学生”が日本語学校を経由して、専門学校や大学へ続々と“進学”できる道が広がった。
千葉県は「週28時間以内」を超える留学生の違法就労について、<学校法人が在籍管理の中で把握するもの>だとし、留学生の経費支弁能力の問題は<入国管理局が精査していると承知している>と回答した。そして、学費の返還問題については以下の答えが返ってきた。
<同校の学則では、入学金及び授業料は「所定の期日までに納入する」とされ、「既に納入した入学検査料、入学金及び授業料は、原則として返還しない」と規定されており、この授業料に関する取り扱いは、生徒へ説明していると聞いている。>
専門学校に関する基本的なデータすら<不開示情報>だとして公にせず、留学生の日本語能力や違法就労問題については、各学校の<判断>や<管理>に任せているという。これでは「所轄庁」など名ばかりで、何もやっていないに等しい。学校側は留学生の受け入れに関し、やりたい放題できてしまうわけだ。
「審査」をパスしたのに、借金を抱えたまま送り返される
事実、千葉県が<生徒に説明していると聞いている>という学費の返還問題にしても、上野法科ビジネス専門学校は留学生の在籍する日本語学校に書類を送りつけるだけで、留学生たちに直接説明した形跡はない。
千葉県の説明で唯一納得できるのは、経費支弁能力の審査は入管当局が担っているという指摘だ。確かに、入管が、留学生を送り出す海外の業者によって年収などがでっち上げられた書類をきちんと<審査>し、ビザの発給を拒んでいれば、専門学校のやりたい放題、そして留学生たちの不幸も防げただろう。しかし入管は、留学生たちが違法就労しなければ日本で暮らせないと分かって受け入れている。「留学生30万人計画」という国策に沿ってのことだ。