学内で内部進学させ、学費をさらに徴収

2)の質問は、上野法科ビジネス専門学校が、留学生の日本語能力を見極めて入学させているのか確かめるための項目だ。ダワ君の話では、「クラスにN3の合格者ですら1、2人しかいない」という。つまり、大半のクラスメートは単に日本語学校に6カ月以上在籍し、出席率も良好だったというだけで入学している。そうだとすれば、日本語能力など問わず、留学生を受け入れているに等しい。

4)の経費支弁能力(日本での学費や生活費を支払える能力)の問題は、学校側が事前に精査していれば、在籍する留学生が「週28時間以内」を超える違法就労に手を染めることもない。そして、ダワ君のようにビザが更新できず、学費の返還を求めるトラブルも起きなかった。

上野法科ビジネス専門学校は、学内に日本語学校と同じ「日本語学科」を設置している。この学科を修了した留学生を専門学校過程に内部進学させ、さらに学費を取り続けるというビジネスモデルは、前述の東京福祉大も導入していた。さらに6)で尋ねた「除籍」や「退学」となる留学生が多いとなれば、まさに同大と同様の責任が問われる。

上野法科ビジネス専門学校には、私が連載「『人手不足』と外国人」を寄稿している新潮社「フォーサイト」編集部から質問を送付し、回答までに1週間近く猶予を与えたが、一切の回答を拒否した。同校が「第2の東京福祉大」である疑いは、フォーサイト連載の発表時ではもちろん、本稿執筆時点でも拭えていない。

受け入れ方法・実態はまるで不透明

ただし、上野法科ビジネス専門学校を擁護するならば、日本語学校や入管関係者からは、同校が特別に“悪質な”学校だという声は聞かれない。逆に言えば、「第2の東京福祉大」は全国各地に数多く、当たり前のように存在しているということだ。そして留学生の学費返還問題も、多くの学校で起きている。

では、行政の対応はどうなのか。専門学校の所轄庁は都道府県だ。上野法科ビジネス専門学校の場合は、千葉県が所轄ということになる。そこで千葉県総務部学事課に同校の実態をいかに把握しているのか尋ねると、書面で以下のような回答があった。

まず、上野法科ビジネス専門学校の学生数や留学生数、除籍や退学になった留学生の数については、<千葉県情報公開条例第8条第3号の不開示情報に当たるため回答できない>のだという。また、日本語能力のない留学生の受け入れの問題に関しては、<出願資格については各法人(学校=筆者注)の判断>に任せているとの回答だった。