多額の借金を背負い入国した留学生たちの違法就労が発覚し、入管当局から帰国を求められるケースが増えている。彼らはどうやって厳しいビザ審査をパスしているのか。ジャーナリストの出井康博氏が、帰国が相次ぐブータン人留学生の実情をリポートする――。(前編、全2回)
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“偽装留学生”が強制送還される中……

在留資格を取り消され、日本から強制退去となる外国人が増えている。法務省出入国在留管理庁によれば、2018年の在留資格取り消し件数は832件に達し、過去最高だった17年の385件から2倍以上に急増した。国籍別では「ベトナム」が416件、在留資格別では「留学」が412件に上り、ともに全体の約半数を占める。

在留資格は、ビザで認められた活動をせず日本に留まっていることが入管当局に見つかった場合、取り消しとなる。例えば、留学ビザで入国した外国人が学校を退学や除籍となった後、アルバイトをしているケースなどが該当する。

近年、出稼ぎ目的で、多額の借金を背負い入国する“偽装留学生”がアジアの新興国から大量に流入した。その最大の送り出し国がベトナムである。学費が払えなくなったり、また自ら学費の支払いを逃れ働こうとして、留学先の学校から失踪する留学生は少なくない。そんな元留学生が摘発され、強制送還となることが増えている。

このニュースは大手紙が揃って報じた。その一方で、資格取り消し以外にも、母国への帰国を余儀なくされる留学生が続出している実態について、新聞やテレビでは全く伝えられない。