数週間後、長女から届いたメールの内容とは
担当者は黙ってしばらく考えた後、こうアドバイスしました。
「まずは先ほどご紹介した相談支援センターで相談をしてみてください。そこで仕事のお話も聞いてくれることでしょう。相談に行く前には必ず電話で予約を取ってください」
次は相談支援センターに行く、ということを再度確認し、その日の面談は終了しました。
市役所での相談から数週間後。長女からメールが届きました。
そこには次のようなことが書かれていました。相談支援センターへは母、次女、長女の3人で行ったこと。初回の相談では次女の希望などをじっくり聞いてもらったことに加え、長女の不安や心配なこともしっかりと聞いてくれたこと。2回目の相談で次女が障害福祉サービス利用契約書に署名をしたこと。その後は次女と担当者で面談を重ね、一緒に職場や母亡き後の支援先の候補を探すことになったこと、など。
家族が動き出したことで、物事が着々と進んでいる様子が伝わってきました。メールの最後には次のようなことが書かれていました。
「母亡き後、次女の人生すべてを私が一人で背負わなければならないのか? というプレッシャーがありました。それがものすごく負担で気持ちもずいぶんと落ち込んでしまいました。でも、自分一人で全部を背負わなくてもいいことがわかり、気持ちがだいぶ楽になりました。思い切って相談に行ってよかったです。いろいろと相談にのっていただいたり、市役所の相談に同席までしていただいたり、どうもありがとうございました」
先が見通せない不安で暗くなっていた長女の心にも、一条の光が照らされたように感じられました。
兄弟姉妹におんぶにだっこはあまり現実的ではない
ひきこもりのお子さんの兄弟姉妹にも家庭や生活があります。親亡き後のサポートすべてを兄弟姉妹にお願いすることはあまり現実的ではないでしょう。しかし、だからといって親亡き後のことについて何も準備をしないのも好ましくありません。
支援者がサポートできること。兄弟姉妹がサポートできること。それぞれのバランスをうまくとりながら親亡き後の生活を支えていく。そのような考え方で親亡き後の準備をしていくことが大切ではないかと思っています。