「母亡き後、次女の面倒をみることはやっぱり難しいです」

それを聞いた長女は驚きを隠せない様子でした。

「そうなんですか。全然知りませんでした。給付金はずっともらえるものなんですか?」
「はい。ご次女は障害基礎年金が一生支給される方なので、給付金もセットで一生もらえます。年金と給付金は景気の変動などで多少増えたり減ったりしますが、月額7万円をもらえるものとして試算したいと思います」

支出に関しては、ご家族と話し合った結果、基本生活費として月額10万円、住居費(固定資産税など)は月額換算で8000円としました。

「収入は月7万円、支出は月10万8000円で、赤字は3万8000円です。お母様亡き後、ご次女が24年生きると仮定した場合の不足額は、3万8000円×12カ月×24年=約1100万円になります。急な入院やリフォームなどの一時的な支出がかかってしまったとしても、貯蓄の範囲内に収まる可能性が高いといえそうです」

「そうなんですね。お金についてはそれほど心配する必要はなさそうですね。でも、母亡き後、次女の面倒をみることはやっぱり難しいと思います……」

家族はいったい誰に頼ればいいのか

確かに長女にすべてを背負わせるのはあまり現実的ではありません。

しかし、だからといってこのまま何も準備をしなければ、結局は長女に多くの事をお願いすることになってしまうでしょう。そこで筆者はある提案をしました。

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「まずは障害者総合支援法による障害福祉サービスを検討してみましょう。障害者総合支援法では、障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援することが定められています。この法律により、障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援するためにさまざまな障害福祉サービスが用意されています。費用は原則かかった費用の1割または無料です。世帯の所得等によって負担金額の上限があったり、自治体によってはさらに独自の費用負担をしてくれたりすることもあります」

「そのようなものがあるのですね。一体どこに相談に行けばよいのでしょうか?」

「まずは市区町村役場の障害福祉課(地域によって名称は多少異なる)に相談してください。相談はご次女本人も同席することになります。なお、相談に行く前には必ず電話で予約を取ってくださいね」

「はい。わかりました。相談は母と一緒に行きたいと思います」

ある程度先が見通せるようになったためか、長女の表情は幾分すっきりとしたように感じられました。