母親が亡くなるまであと11年「次女はいくら貯められるか」

2人のやりとりを聞いた筆者は、「お金の見通し」と「母亡き後の次女のフォロー」の2つをはっきりとさせていく必要があると思いました。

そこで筆者はこう切り出しました。

「お母様が亡くなった後、ご次女の生活費は足りるのか? 足りないのか? 大まかな金額になりますが、この場でちょっと計算してみましょうか」

この提案に親子は同意しました。

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「まずはお母様とご次女が何歳まで生きられそうかを決めたいと思います。参考データとして平均余命を使いましょう。するとお母様は93歳まで、ご次女は89歳まで生きられる可能性が高いとわかります」

「お母様が亡くなるまであと11年とします。この先11年でご次女がどのくらい貯蓄できそうか計算してみましょう。貯蓄は今後も月3万円できるものとすると、3万円×12カ月×11年=396万円です。お母様が亡くなると想定した時点で1400万円+396万円=約1800万円になります」

2019年10月から「年金生活者支援給付金」がスタート

「結構な金額になりますね。でもこれで足りるでしょうか? ニュースでは最近『老後には2000万円の蓄えが必要だ』と言われていますし……」

長女は未だ晴れない表情でそうつぶやきました。

「確かにそのように言われています。ですが、必要な金額は個人個人で違います。2000万円という数字にとらわれることなく、ご次女の場合はどのようになりそうなのか? それを試算してみることが大切です」

親子はともにうなずきました。私はさらに続けました。

「次に収入を確認しましょう。障害基礎年金の2級は月額換算で6万5000円です。さらに2019年10月からは消費増税に伴って年金生活者支援給付金という制度がスタートします。障害基礎年金の2級を受けている方は、所得の条件を満たせば年金の他に月額5000円がもらえるようになります。つまりご次女の収入は月額換算で7万円になります。2019年9月頃に日本年金機構から書類が届くので、必要事項を記入し返信してくださいね」