母「長女には私が亡くなった後、次女のことを頼みたい」
基本的に母親の年金収入(月14万5000円)で毎月のやりくりをしていますが、それだけでは3万~4万円足りません。その分は、次女の障害年金(6万5000円)の一部を充てています。そのため、次女の貯蓄はひと月あたり3万円程度とのことでした。
ひと通り話を伺った後、筆者は母親に質問をしてみました。
「今後、もしお母さまが亡くなった時、○○さん(次女)は施設に入所されることは考えていらっしゃいますか? 施設に移れば、法律上、費用は障害基礎年金の範囲内でまかなえるようになっています。生活のフォローもしてくれます。そうなればお母さまもご長女も安心されるかと思われるのですが、いかがでしょうか」
これを聞いた母親は少し困ったような顔をしました。
「実は、次女は『施設はいやだ。今ある家にずっと住みたい』と言っています。ですから今のところ施設は考えていません」
「自宅に住むとなると、それなりにお金が必要になりますよね?」
長女は不安を隠せない様子で筆者にそう訴えかけてきました。すると母親は財産が書かれたメモを手に取り長女と筆者に見せました。
「次女の貯蓄は1400万円ありますし、自宅(持ち家)もあるのでお金の心配はないと思うんです。長女には私が亡くなった後の次女のことを頼みたいだけなんです」
長女「母亡き後、お金は足りなくなると思う」
これについて長女はすぐさま反論しました。
「確かに貯蓄は1400万円ありますが、収入は障害年金だけ。母亡き後、お金は足りなくなると思うんです。でも、それがどのくらいになるかまでは私ではわかりません。それが余計に不安なんです。また『母亡き後のことを頼む』と言われても、私にも家族や生活があるのでそれは厳しいです。そんなの無理だと思います」
長女は感情的になり、語気が荒くなっていきました。それに呼応するかのように、母親の声も大きくなっていきました。
「お金の心配はしなくていいから! 私が亡くなった後のことをお願いしたいのよ」
その後も「お金は大丈夫」「足りないと思う」「亡くなった後はお願い」「いや、それは無理」というように母親と長女の主張は平行線をたどってしまい、話が先に進まなくなってしまいました。