24時間“木村拓哉”の見えない努力

それは映画『無限の住人』の主演に木村拓哉を起用した、三池崇史監督のこんな言葉にも象徴されています。

「24時間“木村拓哉”なんですよ(※2)

本人もこう語っています。

「素のときの自分と、演じているときの自分を、意識して切り分けるということは一切ないですね。(中略)オン、オフのスイッチを入れたり、切ったりという感覚はないですね(※3)

ずっと“木村拓哉”であり続ける、その強烈な意志。トップアイドルであり、主役級の俳優としてあり続けながら、変わらない自分を貫くことは生半可なことではなく、運や才能だけで太刀打ちできるはずもありません。

木村と共演した俳優・中井貴一は“1等賞を走り続けていく”木村拓哉の努力について、こう語りました。

「僕たちの世界って、ホントに一瞬ポンと名前が出て、売れてっていうことも、とても難しいことだけど。それはある意味、大きな運を持っていればできることだけど。1等賞を走り続けてくっていうのは、その運と、そこに彼がしてきた努力みたいなものが、合わさらないと継続っていうのは出来ない。

彼は絶対に努力を見せませんからね。僕たちなんかよりもはるかに仕事が忙しく、色んな仕事をやっていらっしゃるんだけど、絶対、現場に台本は持ち込まないですし。どんなに長いシーンでも、彼が台本を見るってことはなかったですから。それは、どんな天才でも“努力”なんだと僕は思いますよね(※4)

月9ドラマ大役を断った理由

“1等賞を走り続けていく”ことにも意志が必要ならば、1等賞をとるまでにも、当然意志が必要です。ここからは、ブレイク前の木村拓哉について見ていきましょう。

1988年に結成され、91年にCDデビューしたSMAPですが、結成当時は、木村が中心メンバーだったかというと、実はそうではありません。リーダーは中居正広で、89年には森且行がSMAPメンバーとしては初めてドラマの主演をしていますし、92年には稲垣吾郎が先に月9主演デビューを果たしているくらいです。

その一方、単発ドラマなどで経験を積んでいた木村に、チャンスがやってきたのは93年、21歳の時。月9ドラマ『あすなろ白書』(原作・柴門ふみ)の「掛居くん」役にキャスティングされたのです。

大学生男女5 人の恋愛を描いたドラマ『あすなろ白書』で、掛居くんは、ヒロインの石田ひかりに恋心を寄せる男の一番手です。初めての連ドラ、しかも当時、高視聴率を連発していたフジテレビの月9枠。普通の若手俳優なら、喜んでとびつく大役です。しかし、それを木村は断ったのです。